アンクル・カウンターウエイト製作
2011/05/05
良く見ると入り爪のルビー(画像中央付近)の腕に小さな穴が開いていますね。
これは、元々このアンクルにネジ止めされていた「カウンターバランス」とか「カウンターウエイト」等と呼ばれる「重り」用のネジ穴です。
つまり、このアンクルは元々付いていたバランサーが無くなってしまっている訳です。
この「バランサー」はおおよそ20世紀に入るまでアンクル式の高級機の多くに付いていたもので、元々アンクルの「重さの平均化」を狙ったものですが、「費用対効果」の面から20世紀に入る頃には徐々にその姿を消しています。
製造していた「アンクルメーカー」によって多種多様な形状のものがありますが、この時計のものは「カタツムリの角」のような形状がオリジナルです。
まず、焼きの入っていない生の炭素鋼にデザインをケガきます。 その後、アンクル芯を通過させる中央の穴、そしてアンクルの腕にネジ止めするためのネジ穴のそれぞれを開け、ネジ穴の方には内部に雌ネジを切ります。 それぞれの穴の位置・間隔はかなりシビアーなものですが、このような小型ムーブメントにおいては尚更ですね。 穴の加工が済んだら、ケガいた線に沿って注意深くヤスリで削り落としてゆきます。 |