カスタマイズ
NOTICE:This article written in Japanese.
0サイズ ウォルサム「リバーサイドサイドマキシマ」のムーブメント画像です。
画像中では、ガンギ車(5番車)の上ホゾの「伏せ石」をクローズアップしています。
ゴールドのシャトンに包まれたルビーがネジ留めされている様子がよく分かりますね。
今回は、このオリジナルのルビーの伏せ石を「ダイアモンドに変更したい」というお客様のご要望により、このモデルの旧型に採用されているような「ダイアモンドエンドストーン」を製作することになりました。
まず、底辺が真っ平らな「ローズカット」のダイアモンドを用意します。
次に金の棒を旋盤にセットし、ダイアモンドを包み込む「シャトン」の製作に入ります。
画像ではシャトンのある程度の外径を切削した後、石をはめ込む穴をドリルで開けている様子が分かります。
石がピッタリと圧入できる寸法の穴を開けたら、そのままダイアモンドを圧入し、その後穴周りの部分に加工を加えて石の周囲を伏せこんでしまいます。
こうすることによって、はめ込んだダイアモンドが外れてしまったりすることがなくなります。
次に、オリジナルのシャトンと完全に同一の外径になるよう、詰めの切削に入ります。
外径の加工が完了したら、ダイアモンドのカシメ込まれたシャトンを金の棒から切り離します。
次に、切り離したシャトンを裏返して特殊なチャックに固定し、シャトンの上面の加工に入ります。
シャトン上面の加工が完了したシャトン付きダイアモンドの伏せ石です。
この後シャトンの端2ヶ所に、ネジの座る半円形のカラーを加工し完成です。
ムーブメントにネジ止めされた「ダイアモンドエンドストーン」です。
ちなみに、ルビーやサファイアの伏せ石は「鋼」のホゾ(軸)よりも遥かに硬度の高いものですが、それでもアンティークウォッチにおいては長年の使用によりホゾの接地面に小さな「くぼみ」が出来ているものが大変多く見られます。
一方、ダイアモンドエンドストーンにおいても同様のくぼみを見ることはありますが、その確率は格段に低くなりますので、これは外見的に「贅沢」というだけでなく、実用的なメリットも充分にあるものです。
また「ネジ止めシャトン付き」仕様のこの時計の場合、必要とあらばオリジナルのルビーの伏せ石に戻すことはいとも簡単です