修理・レストア
時計のホゾ穴は、油が入っていれば潤滑にホゾも回転し、傷むことはほとんどありません。
しかし、油切れで動くことによりホゾも傷つき、穴もどんどん広がっていくだけでなく、歯車も傾くことによって、他の部品に干渉し削れ、歯車自体も傷むことになります。
穴がそれほど広がってない場合は、タガネによって穴詰めをすることで修理が出来るのですが、ここまで広がっている場合は、旋盤で一度穴を整形し、広がった穴にブッシュを入れる修理が必要となります。
こちらの時計は吊り下げ香箱の仕様ですが、同じ様に受け板の穴が香箱芯に対して削れ、広がっています。
写真ではそれほど穴が広がっていない様に見えますが、これだけでも香箱の歯がズレ二番車のカナに対し噛み合いが変わってしまい、時計の不調につながります。
旋盤で正常な香箱の位置を出し、変形して削れてしまった穴を真円に削っていきます
真円に削った受け板の穴に、香箱芯の入る穴の空いた真ちゅうのリングを圧入します。
これで香箱芯の横アガキが無くなり完成です。