修理・レストア
先日納品差し上げたウォルサム・リバーサイドマキシマ懐中時計(モデル’88)ハンターケース仕様です。
リバーサイドマキシマは、ウォルサムの高級モデル中最も長命なシリーズですが、この’88はその初期型にあたり、現在大変入手の難しいモデルです。
ちなみに、後年の16サイズのマキシマシリーズの石数が23石まであるのに対して、このモデルは21石のみの仕様です。
また、マキシマに限らずこの’88モデルは後年の16サイズのムーブメントより地板の文字盤(文字板)側の外径が若干大きく、通常の16サイズと区別する為に17サイズと呼ばれることもあります。
オリジナルの’88マキシマダイアル(後年のシリーズと寸法・仕様が異なる)も完全な状態で、14Kのハンターケースもたっぷりとした肉厚のあるものでした。
分解時の地板(受け板側)です。
最終的に香箱や受け板が乗ってしまうと完全に隠れる部分にまで綺麗なダマスキーンが施されています。
香箱、各歯車が所定の位置にセットされた様子。
地板の文字板(文字盤)側です。
さすがにここも綺麗にペラルージュ仕上げされていますね。
画像中、6時位置付近にある天真の下側の伏せ石はシャトン付のダイアモンドです。
完成した状態の受け板側です。
受け板側の伏せ石は、天真・アンクル・ガンギ車ともダイアモンドエンドストーンですから、21石中、4石がダイアモンドということになりますね。
元々、錆一つない状態でしたが、天真の新規製作・交換、天輪のウエイトバランス調整、ゼンマイの交換等、必要な処置をして分解掃除した結果、充分に日差5秒以内(5姿勢)に入る精度を記録しました(実用保証精度は日差10秒以内)。