時計部品製作
NOTICE:This article written in Japanese.
2番車の軸が過去の錆により全体に傷んでいます。
ホゾだけの傷みなら旋盤で削り、研磨して仕上げ直せるのですが、カナまでガタガタに傷んでおり、噛み合う香箱の歯までも削ってしまっている状態ですので製作いたします。
その他にも、この2番車はカナに対して歯車が圧入で取り付けているだけな為、ゼンマイを一杯に巻き上げると、カナと歯車がズレて時計の針が進んでしまいます。
通常、2番車の歯車はカナに対しカシメられているので、カシメ仕様に変更します。
カナと噛み合っている片側が削れています。
このまま使うと、香箱の歯が更に削れ香箱まで製作しないといけなくなります。
まずカナの棒を作るため、歯切り旋盤に炭素鋼を取り付けます。
半分歯が切れた様子。
これでカナ棒が切削出来ました。
旋盤からカナ棒を切り取ります。
元の歯と同じ太さ、長さのカナが切れています。
熱処理します。
研磨します。
ここから旋盤につかみ、元の寸法に合わせて切削していきます。
上ホゾが出来ました。
上、下ホゾとも切削が終わり、筒カナがはまる軸も削り出した様子。
右の傷んだ軸と比較すると新規製作された軸の方が輝いています。
軸に対して歯車をカシメる為、歯車の元の穴をセンターを狂わさない様広げ、カナにカシメます。
カシメの拡大写真。
しっかりとカシメられました。
ホゾの部分も、カナの歯も新品になりました。
これで傷んでいた2番車の軸も新品になり、香箱の歯もこれ以上は痛まずに動き続ける事でしょう。